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ホーキング博士 天国を否定 [科学・宗教]


【5月17日 AFP】英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士は、16日の英紙ガーディアン(Guardian)のインタビューで、天国について「暗闇が怖い人間のための架空の世界」と述べ、宗教の根幹を成す概念を改めて否定した。

 ホーキング博士は、世界各地でベストセラーとなった『ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)』(1988)では「神というアイデアは宇宙に対する科学理解と必ずしも相いれないものではない」と記していたが、その後四半世紀で宗教に対する態度は著しく厳しいものになった。

 2010年の『ホーキング、宇宙と人間を語る(The Grand Design)』では、「宇宙創造の理論において、もはや神の居場所はない」と述べている。物理学における一連の進展により、そう確信するに至ったという。

 博士は今回のインタビューで、自分の考えは21歳の時に発症した運動ニューロン疾患との闘いにも影響されていると語った。
「わたしはこの49年間、死と隣り合わせに生きてきた。死を恐れてはいないが、死に急いでもいない。やりたいことがまだたくさんあるからね」
「脳はコンピューターのようなもの。部品が壊れれば動作しなくなる。壊れたコンピューターには天国も来世もない。天国は、暗闇を恐れる人間のための架空の世界だよ」(c)AFP
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以前は神について否定的でなかったホーキング博士が、
今回神の存在をきっぱりと否定する発言をされたことは、唐突のようにも思われます。
なぜそのように考えるに至ったのか、という疑問は当然出てくると思います。
最新の著書である『ホーキング、宇宙と人間を語る』では、
宇宙、空間、時間について触れられていて、その中でそのことに関しても述べられています。

実はこの本、日本でも昨年末に発売されていて、
その直後から気になっていたのです。
読んでみたい、でも難しいだろうなあと迷いつつ・・
そして2月に入ってからとうとう思い切って購入、その後
読んで戻りつ、再び読んで・・と実に長い時間をかけてほぼ一通り目を通しました。
それで、どれだけ理解できたのかについては、実に怪しい、
というか専門的な用語や理論についてはわけがわからない・・・
でも、金魚鉢や、サッカーボールとゴールに例えた実験や説明などわかりやすく、
一般的な物理科学に関した書物に比べると、哲学的な要素もあり、
興味をもって読めるところが結構ありました。でも、やっぱり難しい~(´_`。)

ホーキング博士については、以前このブログでも少し触れたことがありました。
たしか埴谷豊さんとの対談集である池田さんの著書「オン!」の中にも出てきていたはず。
こちら
http://m-haruka.blog.so-net.ne.jp/2010-02-20

このときから、一風変わった科学者だとちょっと興味を覚えていました。
科学者でありながら、哲学的でもあり。。
今回の著書の中でも、科学と哲学に関わる発言をされていました。
哲学界に対して、かなり辛辣な言葉ですが・・

第1章 この宇宙はなぜあるのか?-存在の神秘 より
p10 
『・・現代において哲学は死んでしまっているのではないでしょうか。哲学は現代の科学の進歩、特に物理学の進歩についていくことができなくなっています。・・・』

では、神が存在するか否かについて、なにを根拠に述べられているのか。
ホーキング博士は、時間に始まりがあるのかそうでないのか、これに関わって説明をされています。
時間の始まりが宇宙創成の謎にせまるキーを握っているというわけなのでしょうか。

これに関わって一部引用。
(これに先立ち、世界の端について触れられています。時間の始まりについての議論は、世界の端についての議論に少し似ている。その昔地球が丸いと知らなかった時代には、世界の端がどうなっているのか不思議であったが、世界が平坦な平面でなく球面であると人びとが気付いたことによって解決された、ということが述べられています)

第6章 この宇宙はどのように選ばれたのか?-相対論と量子論の描く宇宙像より
p190~p191
『・・・しかし、時間は線路の模型のようなものです。もしそれに始まりがあったならば、汽車を走らせるような何者かーすなわち、神ーが存在していなければなりません。アインシュタインの相対性理論は空間と時間を時空として統合し、そして空間と時間が混合するという概念を盛り込みましたが、それでも時間は空間と別なものとして扱われ、始まりと終わりがあるか、永遠に続くかのいずれかでした。しかし、量子論の効果を一般相対性理論に加えると、ある極端な場合において大規模なゆがみが生じ、時間がもう1つの空間次元としてふるまうようになるのです。
宇宙が一般相対性理論と量子論の両方に支配されるほど小さいような初期の時代では、実際上の空間次元は4つあり、時間次元は存在しませんでした。・・・・』

非常に初期の宇宙にまで遡ると、時間はもはや存在しないということ、
それがなぜなのか、
下から4行目からの、「量子論の効果を一般相対性理論に加えると、ある極端な場合において大規模なゆがみが生じ、時間がもう1つの空間次元としてふるまうようになるのです。」
の部分が、その説明にあたるのでしょうが、量子論や相対性理論自体理解できていない自分には、
なんだかよくわからない。
ただ、初期においては時間は存在していない、4つ目の空間次元であったということ、そのこと自体を頭において次に続く文章をみてみると・・

p192
『時間を空間のもう1つの方向であるとみなすことは、世界の端を取り除いたのと同様に、時間が始まりを持つという問題をまぬがれることができるということを意味します。宇宙の始まりを地球の南極に、緯度を時間に見立ててみます。等緯度の円を宇宙の大きさに見立てれば、それは北に移動するにつれて膨張していきます。宇宙は南極において点から始まるわけですが、その南極は他のいかなる点とも同じようなただの点に過ぎません。南極よりも南には何もないので、宇宙の始まりの前に何が起こったのかという質問は意味をなさなくなります。・・・』

これに続いてホーキング博士は、
人びとは、宇宙に始まりがあると信じることを、神が存在する根拠として用いてきたが、時間が空間のようにふるまうと理解し、宇宙の始まりが科学の法則によって支配されていると考えることで、何らかの神によって動かしてもらう必要がないのだ、と述べています。宇宙は無から自発的に生成されたのであり、宇宙を生成して発展させるのに神に訴える必要はないのだと。。

ホーキング博士のおっしゃっていることは、なんとなくそれなりには伝わってきたように思えるのですが、
それでも、なぜ無からこのような宇宙が生まれてきたのか、という問いはやはりなくならなくて、
なぜ、宇宙は存在するのか、
なぜ、私たちは存在しているのか、
私たちは何者なのか、
このような疑問は相変わらずすっきりと解決されない。

ホーキング博士の、死後の世界は存在しない、
「天国は暗闇を怖がる人のための架空の世界」という主張についても、
そこまできっぱり断言してしまえるものなのか、自分の中で疑問が残ります。

それに、もし天国がなくて死後の意識というものがないなら、暗闇を恐れることもないわけで、
それなら暗闇を怖がる人のための架空の世界も必要ではなくなりますね。
どちらにしても、そのときにならないと真実はわからないのかも
(死後の世界や意識がなければ、それを認識することはできないけど・・)


ホーキング、宇宙と人間を語る

ホーキング、宇宙と人間を語る

  • 作者: スティーヴン ホーキング
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2010/12/16
  • メディア: 単行本



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